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第4冊 「学び」の教科書(大人の正しい学び方)

「大人が学ぶため」の教科書を手に入れよう

 

第4冊働く大人のための「学び」の教科書

 

働く大人のための「学び」の教科書

働く大人のための「学び」の教科書

 

 

  • 読みやすさ ★★★★☆
  • 即効性   ★★★★☆
  • 影響力   ★★★★☆

 

「子どもの勉強」と「大人の勉強」はまるで違う

大学を卒業して「やっと勉強とおさらばだ」と思ったら、大人になって、もっと勉強しなければならないという現実にぶつかった方も多いのではないでしょうか。

しかも大人の学びは、とても難しいにもかかわらず、学校とは違い決まった先生も授業もなく、教科書も準備されていない。最初は誰から何を学べば良いかも分からないことが多々あります。子供のように「学び」を与えられるのではなく、大人は自ら「学び」にいかなければ何も学べません。

本書は、そんな大人の「学び」の教科書となるべく、大人が学ぶ必要性から正しく学ぶための具体的な方法まで様々なヒントが散りばめられています。

ビジネス書籍の4冊目として、ご紹介するのは、働く大人のための「学び」の教科書です。大人の貴重な時間を使い、折角学ぶなら、正しく学んで大きく成長しましょう。 

 

 

 

著者 中原 淳さんってどんな方?

本書籍の筆者である中原 淳さんは、東京大学大学総合教育研究センターの准教授を務めており、「大人の学びを科学する~働く大人の学びと成長」をテーマに研究をされています。企業の人材やリーダーをいかに育成するかを追求し、様々な研修・ワークショップも実施されています。中原さんが追求する「大人の学び」のエッセンスが、今回ご紹介する『「学び」の教科書』にあります。

 

さて、それでは、大人になっても常に学び続け、正しく成長するために、『「学び」の教科書』の中身を見ていきましょう。

 

 

① 学ぶのか、学ばされるのか

多くの方は、小学生から大学までの13年という長い期間、学ぶことになります。では大人は?22歳から働き、65歳に退職するとした場合、実に43年、学生時代の3倍以上の期間、学び続けなければなりません。さらに健康寿命が延びている現代では、更に長くなる可能性もあります。

しかし、現状に甘んじたり、過去の栄光に縋って、「常に学ぶこと」を怠り、役職、環境、様々な変化に対応できない人が多くいます。そうならないため、常に新たな環境変化に対し「好奇心」や「興味」を持ち、自分をモニタリングし、自ら立て直すことが求められるのです。そのために「大人の学び」を本書では、「自ら行動する中で経験を蓄積し、次の活躍の舞台に移行することをめざして変化すること」と定義づけています。

では、環境の変化に必要を迫られて、勉強するのでしょうか。勉強は学ばされると、やらされ感もありますし、モチベーションも上がりません。学ぶための大切なポイントに、他人に強制されることなく「自ら決める」ことがあります。折角学ぶのですから自ら腹を括って、真剣に学び、その成果を感じましょう。

 

 

② 大人の学びの基礎「3つの原理原則」

大人でも学び続けることの大切さに触れましたので、次は「大人の学び」の基礎となる「3つの原理原則」に触れていきます。

第一の原理原則が「背伸びの原理」です。人は、現在の自分の能力でどうとでもなる快適な空間にいるだけでは成長はしません。頑張って背伸びをして、自分の能力の少し上の仕事に携わることで、大きく成長するのです。

では何から始めればよいか。世間や社会で大切と「他人から言われている」ことは、続かないことが多いです。背伸びをすること自体を楽しむためのも、まずは「自分が楽しく感じること」や「他者から感謝されること」を自らの意思でやってみることから始めましょう。

第二の原理原則は「振り返りの原理」です。本書では振り返り「過去の自分の行動を見つめ直し、意味づけたうえで、未来に何をしなければならないのかを、自分の言葉で語れるようになること」と意味づけています。

3つの問い(①What?:何が起きたのか、②So what?:それがどんな意味で、何が良かったか又は悪かったか、③Now what?:これからどうするのか)を用い、振り返っていきます。

振り返るのは、つらいことも多いため、つい目を逸らしてしまいがちですが、「勇気」を持ち、しっかり自分を省みることで、初めて経験は学びとなるのです。

第三の原理原則は「つながりの原理」です。人は一人ではなかなか変われない弱い存在です。だからこそ、助けやアドバイスをくれる第三者の存在、つながりが大切なのです。

「振り返りを促進してくれる人」や「励まし、認めてくれる人」を大切にし、バランスよくつながることで、自分の学びをより促進することにつながるのです。

 

  

③ 大人の学びを加速する「7つの行動」

さらに「大人の学び」を加速するために、原理原則を持った上での具体的な行動「7つの行動」について、簡潔に触れていきます。

行動①「タフアサイメント=タフな仕事から学ぶ」

 私たちは、仕事に多くの時間を費やします。ではいつ学ぶが一番効率的か。答えは「仕事の中」です。ではどのような仕事から学べば良いのか。それは「会社が伸びていく方向に貢献できる前例のないタフな仕事」から学ぶのです。そうすることで、自らを大きく成長させるとともに、より有利な仕事や職位を手にすることができます。数少ないタフアサイメントな仕事を任せてもらうためにも、日々の仕事をしっかりこなす事が重要なのです。

行動②「本を1トン読む」

本を1トン読むくらい多読を心がけることが重要です。本を読むことの利点として「自分のなかに地図を持つこと」「他者の経験や思考を代理学習すること」を挙げています。本は効率的に学ぶ手段であり、自分を導く地図でもあるのです。

読書をする若者が年々減ってきている現代だからこそ、日々読書の読書の積み重ねが、将来の大きな「違い」につながるのです。

行動③「人から教えられて学ぶ」

大人が教えられて学ぶのには、3種類の学びがあります。

①インフォーマルな学び(人づてに情報を入手し、そこから学ぶ)

セミフォーマルな学び(集まって学べるオフィシャル性のない教育施設)

③フォーマルな学び(最もオフィシャル性が高く敷居が高い大学院)

それぞれの長所・短所を把握するとともに、「誰から」学ぶのか意識することが重要です。

また、大人の学びは何より「アウトプット」が大事です。「聞く」だけで終わらせず、必ず「聞く」→「考える」→「対話する」→「気づく・変わる」ことを意識して学びましょう。

行動④「越境する」

「日常」と「非日常」の境界を越える「越境」により、人は「違和感」を感じることができます。その「違和感」を通じた振り返りが「学びや変化の源泉」となります。

転職や帰り道を知らない道で帰るだけでも良いのです。あえて慣れ親しんだ日常から脱却することで、発見や気づきを得る。自分がまだまだ知らないということを知ることができるのです。

行動⑤「フィードバックをとりに行く」

 自分は意外と自分を見えていないものです。仕事を通じて成長するためにも、「第三者から見て、自分がどのような状況に見えるか」を客観的に指摘してもらい、自分を立て直すことが大切です。フィードバックを受けたら、忘れずに、過去を振り返り、これから何をしていくか、振り返るようにしましょう。

また、フィードバックの内容次第では、これまでの自分を捨てることも考える必要があります。大手企業で、過去の成功に縛られ、過去を捨てることができず、新規企業等に立場を奪われることが最近見かけられます。人も同じです。「過去通用したもの」をどんどん捨てていくことで、「新しい今必要なもの」を取り入れていくことができるのです。

行動⑥「場をつくる」

 多くの人から学ぶには、「場をつくる」つまり「人々が集い、コミュニケーションをするような機会やイベント」を自ら主催することが一番効果的です。

イベントに人が集まれば、開催に感謝されるとともに、情報が集まります。参加者は別の人をまた連れてきて、さらに情報が集まるのです。10人の参加者が10人ずつ連れてこれば、なんと100人の人と「つながる」ことができるのです。

イベントなどを開催するのは、労力も時間も必要ですが、その対価は大きいです。学びの場に赴くだけでなく、学びの場を人々に提供することで、さらに世界を広げることができるのです。

行動⑦「教えてみる」

学んだら次は教えてみませんか。自分が他者を「変化される側」にまわるのです。

他者に教えるには、「学ぶ人の3倍」は知っていなければならないとされています。つまり、教えるためにそれだけ自分がしっかりと学ばなければならないのです。そして教えることは、多くの場合、他者からの感謝に繋がります。『嫌われる勇気』でもあった、自分が他者に貢献しているという実感につながるのです。

また、もし「教える」ということが自分にとって「大それたこと」と感じているなら、考えを変えてみましょう。教えることを「教える側と学び手側が対話し、一緒に探究することにより、新たな物事を発見すること」と捉えるのです。学び手だけ変化させるのではなく、教える側も学び一緒に変わっていけばよいのです。

 

 

④「学びの履歴書」を作ってみよう

本書では、最後に7人の学び上手さんの「学びの履歴書」を公開しています。そこには「学びから得たもの」「これから学びたいこと」「うまくいかなかった学び」や「学びのこだわり」など、大変参考になる実例が書かれています。自分でも素晴らしい「学びの履歴書」が書けるよう、3つの原理原則や7つの行動に基づき、「大人の学び」を続けていきたいですね。

 

 


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