第6冊① 鬼速PDCA(1講:まずはPDCAを知ろう)
1講:まずはPDCAを知ろう
第6冊『鬼速PDCA』
- 読みやすさ ★★★☆☆
- 即効性 ★★★★☆
- 影響力 ★★★★★
PDCA回せてますか?
会社の上司やビジネス書など、様々なところで「PDCAは重要」と教えられると思います。
何となく重要とは分かっていても、計画して(P)実行する(D)だけになっていませんか。または、PDCAを意識して行っていたとしても、何となくうまく回らず、いつも中途半端になっていませんか。実際、私も今回紹介する本を読むまでは、PDCAは重要と分かっていても、うまく使いこなせていなかったように思えます。
今回ご紹介するビジネス書6冊目『鬼速PDCA』には、PDCAの重要性、そして120%活用する方法が満載です。しっかりPDCAを理解し、読んだ次の瞬間にも、鬼速でPDCAを回していきましょう。
著者 冨田 和成さんってどんな方?
本書籍の筆者である冨田 和成さんは、株式会社ZUUの代表取締役兼CEOを務めています。大学在学中にIT分野で起業され、その後野村證券にて活躍。2013年に「世界中の誰もが全力で夢に挑戦できる世界を創る」ことをミッションに株式会社ZUUを設立。金融メディア「ZUU online」や投資判断ツール「ZUU Signals」で注目を集めています。
そんな冨田さんが「最強スキル」と位置づけ、自社の社員全員に浸透させている「PDCA力」。本書には、それを効率的に鬼速で回すコツがたっぷりと記載されています。
それでは『鬼速PDCA』の中身を見ていきましょう。
PDCAは最強のビジネススキル
「コミュニケーション力」「英語力」「企画力」…世の中には、様々なビジネススキルが存在します。その中でも、冨田さんは「PDCA(力)」を「最強のビジネススキル」と位置づけています。
《PDCAは》
個人:個別のスキルの習得を加速させるためのベース
企業:新しい仕組みやサービスを鬼速で生み出し続けれらる組織力
市場の変化に瞬時に対応できる柔軟性
なお、あらゆるPDCAは、上位のPDCAと、それを分解した下位のPDCAが存在し、すべてが繋がっているのです。
例:大PDCA・・・年収1,000万円(現在は500万円)
中PDCA・・・営業スキルを磨く
小PDCA・・・提案スキルを磨く、コミュニケーション力を磨く
上記は一例で、中PDCA、小PDCAは、もっと細分化可能です。現在の年収の倍という、とても大きな目標ですが、しっかりPDCAを分解し、小PDCAをひたすら回すことで、加速度的に目標に近づけるのです。
PDCAは前進するためのフレームワーク
実は、鬼速PDCAの効能は、成長スピードが格段に速くなるだけではありません。
皆さんは仕事をする中で、以下の悩みを持たれたことはないですか。
・ゴールが見えない(自分はどこに向かおうとしているのか?)
・道がみえない(果たして今の努力は意味があるのだろうか?)
・手段が見えない(この方法のまま続けていいのだろうか?)
このような悩みを抱えていると、仕事へのモチベーションも当然ながら上がらず、先も見えないため、前に進むのもつらくなります。
これらの悩みもPDCAにより解決します。PDCAを回していれば、計画フェーズでゴールと道のりが明確になり、実行の段階で手段が決まります。五里霧中の中を歩かなくて済むのです。
さらにPDCAを回し続け、何回か障害を乗り越える経験をすれば、そのうち課題にぶつかることが楽しくなってくるのです。どんな障害でもその先にゴールがあるのですから。
このように、PDCAは、悩んだときや落ち込んだときに、すぐに上を向いて歩み続ける原動力となるのです。さらにPDCAを回すことで着実に目標に近づいていき、それが自信になり、自信が湧くことで更なるPDCAを回し続けられるという好循環になるのです。
でもPDCAサイクルがうまくいかなかったら。そんな悩みも不要です。なぜならPDCAサイクルにおける失敗は、その後の仮説精度を上げることに繋がる立派な成果なのです。
つまり、PDCAサイクルは、それを回し続けている限り、その対象がなんであろうとゴールに到達するまで前に進む、そんな「前進するためのフレームワーク」なのです。
PDCAの6つの誤解
PDCAは重要だと色んな場所で耳にします。しかし、実際の行動にまで落とし込馬手いる方は、まだまだ少ない印象です。なぜでしょう。
ここで、PDCAに対する6つの良くある誤解を見ていきましょう。
誤解1:PDCAは簡単?
PDCAは、そのPDCA自体も成長していき、終わりはありません。さらに、PDCAに慣れてくれば、同時に回すPDCAサイクルの数も増えてきます。PDCAを本気で回し、質・量ともに成長を続けるPDCAの奥深さ、難しさを感じれば、簡単なんて口が裂けても言えないはずです。
誤解2:PDCAは管理者向けのフレームワーク?
PDCAは、企業の経営やプロジェクトマネジメントにとても有効で、管理職は是非身に着けておくべきスキルになります。ただ、PDCAは個人レベル、さらにはプライベートな目標でも積極的に活用でき、対象を限定することはありません。一つ言えるのは、PDCAを身に着けるなら早いに越したことはないということです。若いときからPDCAを回す習慣を身に着ければ、PDCA自体も成長するため、果てしなく高いゴールにも到達できるのです。
誤解3:失敗するのは検証(C)の甘さが原因?
PDCAを回してもうまくいかないのは、定期的な振り返りをせず、やりっぱなしにしていることが原因なのでしょうか。実は多くの場合、「計画(P)」の段階であいまいな計画しか立てておらず、その結果、振り返りがしたくても大雑把な検証しかできていないというケースがほとんどなのです。PDCAの5割は、計画で決まるため、最初の一歩で躓いてしまっているのです。
誤解4:PDCAは課題解決のためのフレームワーク?
PDCAは、うまくいかないときの課題解決にとても有用なフレームワークです。ですが、もう一方の視点も忘れてはいけません。それは「うまくいったことを確実に再現できるか」ということです。鬼速PDCAでは、検証フェーズで必ず「うまくいった原因」も分析します。つまり、うまくいかなかったときの「改善案」とうまくいったときの「伸長案」、双方の視点で見ていく必要があるのです。
誤解5:改善すればそれで終了?
PDCAを回し、目の前の課題が解決すれば終了でしょうか。そんなことはありません。PDCAには階層があり、複数のPDCAが存在します。たとえば、ソフト開発で「バグを解決するためのPDCA」を回し、バグを解決しました。ではそこで全て終了でしょうか。いいえ、その上位にあるPDCA「プロジェクトをトラブルなく予定通りに終わらせるためのPDCA」を継続して回し続ける必要があるのです。
誤解6:PDCAは大きな課題のときだけ回すもの?
PDCAは、やたら大きな課題が発生したときだけ、持ち出されるケースが多いです。しかし、本来なら大きな課題・目標をまず分解し、その中でも重要で効果が大きい指標を絞って小さなPDCAをいくつか回すほうが、断然扱いやすくなり、結果的に速くなるのです。
PDCAの全体像
PDCAの各フェーズは、まずは全体像をご説明します。詳細は、2講以降にご紹介します。
1.計画(PLAN)
このフェーズでは、最終的に到達したい目標を定めます。目標は、現在地とのギャップを正確に把握するためにも、5W1H等を使用し、より具体的にすべきです。ギャップを把握することで、数々の課題やとるべき手法が見えてきます。PDCAの5割は、このPの段階で決まります。しっかりと、設定したゴールのその上の目的まで意識した上で計画していくことが求められるのです。
2.実行(DO)
計画段階で「課題をクリアするための解決策」が見えるため、このフェーズでは、その解決案を複数のアクションに分解し、さらにアクションを具体的なタスクレベルに落とし込み、ひたすら実行することが求められます。計画フェーズが5割なら、実行フェーズ は3割の人がここで失敗します。アクションからタスクへの具体化を迅速に行うという意識をするだけでも、PDCAサイクルは格段に早く回るようになるのです。
3.検証(CHECH)
計画フェーズの課題も解決案も、実行フェーズのアクションもタスクも、いずれも「仮説」に過ぎません。「いまある情報のなかで考えられる最適解」に過ぎないからこそ、それが最適解であるか、定期的かつ頻繁に検証することが必要です。客観的にこまめに検証を行うことで、実行サイクルの無駄打ちが減り、より効果的なPDCAになるのです。
4.調整(ADJUST)
Aは改善(ACTION)としている書籍が多いですが、本書ではより実態に近い「調整(ADJUST)」と定義しています。その理由は、「改善」だと良いところを伸ばす伸長案が抜け落ちる可能性があるからです。
調整案は以下の4つに分けることができ、状況により対応が変わってきます。
・ゴールレベルの調整
情報収集と自分の現状を検証した結果、目指すべき山を変えたり、目標の期日を先延ばしにすること。
・計画レベルの大幅な調整
いままで見えてこなかった課題が顕在化したときなどのこと。
・解決案や行動レベルの調整
実行サイクルの微修正のこと(やることの優先度の変更、方法のブラッシュアップ等)。
・調整不要
すべてが順調に推移し、何の調整も不要なこと。
いかがでしたか。PDCAの全体像はつかめたでしょうか。次回以降は、PDCAのそれぞれのフェーズについて、より具体的に内容や実行方法を見ていきます。
それでは「2講:P(計画)を学ぶ」に続きます。