第6冊③ 鬼速PDCA(3講:P(計画)を学ぼう(応用編))
3講:P(計画)を学ぼう(応用編)
第6冊『鬼速PDCA』
PDCAを早く深く回すための因数分解
鬼速PDCAは、高い仮説精度で大きな事故を避けながら、アクセルべた踏みで運転する「だろう運転」に例えられます。
よって鬼速PDCAには仮説精度の向上が必要で、その向上には「因数分解能力=「ゴール」と「現状」を構成する因子をどんどんリストアップしていく考え方」が必要なのです。では、まずは因数分解をする5つのメリットを見ていきましょう。
なお、書籍内では、因数分解をロジックツリーを用いて説明しています。
例:「いい上司」→「人間的魅力」「ビジネス的魅力」→「生き様・信念」「厳しさ」「優しさ」etc
因数分解の5つのメリット
メリット① 課題の見落としを防ぐ
有名な「MECE」と同様、漏れなくダブりなく課題を洗い出すことで、その後の実行、検証、調整が有用なものになります。因数分解は、ゴールを細かい課題に分解するため、課題の見落としを防ぐことができます。
メリット② ボトルネックの発見がしやすい
ゴールを細かい課題に分解するからこそ、現状とのギャップが大きく、是正時のインパクトが大きい、いわゆる是正すべき「ボトルネック」が発見しやすくなります。
メリット③ KPI化しやすい
因数分解をすることで具体的な課題が浮き出てくるからこそ、KPIを設定する際も、より具体的なKPIを設定することが可能になります。
【例】
具体的な課題・・・メールでポテンシャル先へのアプローチの返信率が、平均値よりかなり低い
KPI・・・メール返信率
メリット④ どんなゴールでも実現可能に思えてくる
「営業実績を1年後には現状の1,000万円から倍の2,000万円にする」という目標を立てたとします。現状、日々頑張って1,000万円なのにその倍をたった一年で、と考えるととてつもなく高い壁に感じます。
ただ、この目標を因数分解していくと、たとえば「1日の訪問件数を2件から4件に」「電話アポを1日3件から5件に」「知識習得のため1ヶ月に1冊本を読む」などに分解できるかもしれません。いかがですか、これならそれぞれ出来る気がしませんか。
これらを一つずつクリアしていくことで、一歩ずつゴールに近づくのです。因数分解することで、このようにどんなゴールも実現可能に思えてくるのです。
メリット⑤ PDCAが早く深く回る
因数分解をすることで、課題の洗い出し、ボトルネックの発見、正確なKPIの設定ができるため、ギャップを深く掘り下げることができ、解決策も絞ることができます。
また、Pの段階で精度が高ければ検証(C)や調整(A)での軌道修正が小さくなり、結果的にPDCAが早く回るようになります。
因数分解をする際の7つのポイント
次に実際に因数分解をする際の7つのポイントを見ていきましょう。
ポイント① 抽象度を上げてから分解する
具体的な目標も、抽象度の高いテーマに基づき因数分解したほうが、分かりやすく分解できます。
【例】
ゴール:経常利益10億円を目指す
テーマ:利益構造(一般的なテーマ)
分解: 「売上」と「コスト」
ポイント② 5段目まで深堀りする
甘々の因数分解は、課題が見えづらく、PDCAも回りづらくなります。ロジックツリーを掘り下げる際は、5段目まで深堀りすることで、具体的な課題がでてきて、次の解決策の検討や実行にも移しやすくなります。
ただ、すべての項目を5段目まで掘り下げる必要はありません。課題となりそうな箇所だけを5段目以上を目処に深堀りすれば良いのです。
ポイント③ 1段目だけはMECEを徹底する
ロジックツリーは、階層が深くなればMECE(漏れなくダブりのない分類)をすることは難しくなります。それをすることでPDCAが遅くなっては本末転倒です。
しかし、ロジックツリーの1段目だけは必ずMECEを徹底しましょう。1段目での「抜け」は、下位の全ての課題の抜け落ちにつながり、最初の計画段階の精度のがた落ちにつながってしまいます。
ポイント④ 切り方に悩んだら「プロセス」で切る
問題解決の上で、ロジックツリーの最初の切り口は重要ですが、どう切ればよいか悩まれる方も多いと思います。その際は「プロセス」で切ってみましょう。
例:【メールアプローチをプロセスで切った場合】
リスト準備→送信→アポ取り→ニーズ喚起→提案→検討→成約→リピート
このように「普段どういうプロセスでその仕事をやっているか?」という観点を持つことが、分解のコツです。また多くの書籍の目次も、このような「プロセス」で設定していることが多いので、参考にしてみると良いかもしれません。
ポイント⑤ 簡単な課題は「質×量」で切る
ロジックツリーの2段目、3段目を設定する際は、「プロセス」で切る以外に、「質×量」で切る観点も持っておくと、効率よく分解ができます。
例:テーマ・・・新規開拓成果
量・・・「自分時間の最大化」「自分以外の活用」
質・・・「インプット」「アウトプット」
ポイント⑥ とにかく文字化する
頭の中の思考は、まとまっているようで、実は結構ぐちゃぐちゃで、堂々巡りになるケースも多いです。因数分解を漏れなく行い、しっかり見につけるためには、とにかく紙に書き出してみましょう。文字化することで、頭の中がはっきりするとともに、思考プロセスも身についてきます。
ステップ⑦ マインドマップで鍛える
メモ書きでも頭がすっきりしない場合は、マインドマップで頭の整理をしてみましょう。そうすることでアイデア出しと頭の整理が同時にできるようになります。
【マインドマップ活用のヒント】
①紙よりもパソコン
②PDCAのフレームは忘れる
③時間がないなら時間を決めて行う
④気になったら分解してみる
⑤ワクワクしながらやる
PはPDCAの土台!しっかり身に着けよう
P(計画)の初級編、応用編を見ていきました。PはPDCAのスタート地点であると同時に、土台でもあります。しっかりした土台をつくってこそ、成果のあるPDCAを回せるようになります。なので、「P」を自分の中に落としこめるまで、時間がかかってもしっかり理解しましょう。
次回は、Pで作成した綿密な計画を実行に移すPDCAのDに触れていきます。ここもPの次にPDCAを失敗させる原因となるケースが多いので、しっかり身に着けていきましょう。
それでは「4講:D(実行)を学ぼう(初級編)」に続きます。