第6冊⑦ 鬼速PDCA(7講:A(調整)を学ぼう)
7講:A(調整)を学ぼう
第6冊『鬼速PDCA』
- A(調整)フェーズは検証結果のスケールによって変わる
- ステップ① 検証結果を踏まえた調整案を考える
- ステップ② 調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
- ステップ③ 次のサイクルにつなげる
- 検証と調整フェーズでよく起こる間違い
- 本書の事例とツールを活用する
A(調整)フェーズは検証結果のスケールによって変わる
いよいよ計画を立て、実行し、検証した結果の調整に触れていきます。KGI・KPI・KDIそれぞれスケール感が異なるため、この調整フェーズは、調整のレベルもそれに合わせて異なってきます。
それでは、それそれのスケールの違いも意識しつつ、具体的な3つのステップを見ていきましょう。
ステップ① 検証結果を踏まえた調整案を考える
検証フェーズから渡される3つのバトン
・KPI・KDIの達成率
・できなかった要因
・できた要因
に基づき、できなかった要因については「どうやったらできるようになるか?」、できた要因については「どうやったらさらに成果を出せるか?」を考え、書き出します。
それでは調整のレベルごとに4つのケースを見ていきましょう。
ケース① ゴールレベルの調整が必要そうなもの
ゴールレベルの調整は「中止」「変更」「追加」の3つのいずれかを行います。例をもとにイメージをつけておきましょう。
【例】
ゴールの中止:赤字が膨らむ事業部を閉鎖⇒PDCA中止
ゴールの変更:今年の司法試験を諦め、来年に照準変更⇒現在のPDCA中止、新しいPDCAスタート
ゴールの追加:コスト削減を進めていたら、不明瞭な会計処理が見つかった⇒現在のPDCAの続行、新しいPDCAスタート
ケース② 計画の大幅な見直しが迫られるもの
ゴールは同じでも、課題の入れかえ、追加をしなければいけないケースです。こちらも例でイメージをつけましょう。
【例】
課題の中止:えいごのリスニングは十分強化したのでやめよう
課題の変更:企画を増やすためにネット収集よりリアル人脈の構築にシフトしよう
課題の追加:顧客を増やすためにDMアプローチを検討してみよう
ケース③ 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの
ゴールも課題も同じだが、解決案やDO、TODOに対して変更やてこ入れをするケースです。計画自体はほぼ変わらないため、このケースの場合「P⇒D⇒C⇒A⇒D⇒C⇒A・・・」とPを飛ばせるため、PDCAもとても早く回せます。
【例】
DOの中止:セルフトークが習慣化したので、ルーチンチェックシートから外そう
DOの変更:本を読み出したら成果が出たので、読む量を増やそう
DOの追加:人手が足りないので、インターンにもプロジェクトに入ってもらおう
ケース④ 調整不要
成果が出ていて、なおかつ改善の余地のないケースです。そのまま次のサイクルでも同じKDIで動き、経過を見てみましょう。
ステップ② 調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
調整案がいくつか考えたら、次は「インパクト」「時間」「気軽さ」の指標で優先度をつけます。ここでの優先度を踏まえてやらないことを決め、残った調整案を次のサイクルにつなげるのです。
ステップ③ 次のサイクルにつなげる
調整フェーズは、いわば「次のサイクルへの橋渡し役」です。
PDCAをより早く回すためにも、調整案が決まったら、それをより具体化し、できるだけ早く次のPやDにつなぐことが重要です。
検証と調整フェーズでよく起こる間違い
最後に検証と調整フェーズで起こりやすい5つのミスに触れていきます。
ミス① 新しいものに目移りしやすい(個人)
「情報の新しさ」を優先度の基準にし、やり方をとっかえひっかえしている場合がこのミスです。「最低限の検証・調整」には「最低限の仮説設定」と「最低限の検証期間」と「最低限の行動結果」の3つが欠かせないことを意識するようにしましょう。
ミス② 間違ったものばかりに目が行く(個人・組織)
改善点ばかり気にして、伸長案を軽視するのがこのミスです。「改善案2つにつき、伸長案を1つ選ぼう」といった形で、自己ルール化することが有効です。
ミス③ 意見の統一がはかれない(組織)
チーム単位で要因分析や調整案の立案・選定等を行うと、意見の対立は多くの場合発生します。そうした事態を防ぐため、論点を整理して、ひとつひとつ確実につぶしていきます。ただ、それでも解決せず、リーダーが最終決断を行うケースもあるので、その際は、「リーダーが責任の所在を明言」「不採用になったメンバーのフォロー」することが重要です。
ケース④ 課題のたらい回し(組織)
部署ごとなどで、課題のなすりつけあいも大きな問題です。ここでは、著者が実践しているように、鬼速PDCAの考え方を多くの人に浸透させ、仕事への意識自体を変えていく必要があります。
ケース⑤ プロセスの可視化が不十分(組織)
PDCAを回していると、刻一刻と課題も優先度も計画自体も変わります。スピーディーな変化を上司や部下と共有していくためにも、各判断のプロセスを可視化することが有効です。
本書の事例とツールを活用する
PDCAについては、異常ですが、本書では、著者である冨田さんが代表を務める株式会社ZUUでの鬼速PDCAの活用方法を掲載しています。会社でどのように活用すればよいか具体的なイメージが湧きやすいため、是非読んでみてください。
さらに、鬼速PDCAをする上でのいくつかの便利ツールも提供されているので、こちらも活用し、鬼速PDCAをどんどん走らせてみましょう。